2020-08-20
進化する房州太巻き文化
これが美味しい。館山道を南下して、最後のサービスエリアにそれはあります。酢飯に描かれた模様と、周りを覆うズッシリと存在感ある厚焼きの玉子。巨人大鵬玉子焼き世代に、この玉子焼きはもう宝物のようです。甘くて、そしてやるせない贅沢の極み。房総エリアには、昔から「祭事やハレの日に供する太巻き寿司文化がありました。地域季節の食材を巻いた郷土料理です。そのルーツは、「葬式の時の芋がらの煮付けを芯にしてにぎりめしをつくったもの」、あるいは「紀州の漁師が房総方面まで鰯や鯨を追いかけて来たときの弁当に持ってきためはりずしではないか」など説はいろいろありますが定かではありません。いずれにしても、「具を芯にして巻く」という技法が原点になって、その時代の農産物や海産物などの食材を活かして冠婚葬祭や地域の集まりで作られ、家庭の中でも代々伝えられてきました。その後、日本型食生活の見直しとともにこの太巻き寿司が注目され、技術の掘り起こしと多彩な巻き方の創作・伝承活動により、広く現在に受け継がれています。「作って楽しい、見て楽しい、食べておいしい」が太巻き寿司の特徴。江戸前の粋からは外れていますがハレの文化を感じる寿司です。目で絵柄を楽しむ南房総の隠れた逸品です。
関連記事
コメントを残す