2022-03-07

房総が生んだモダニズムの日本画家 酒井亜人展 私設房総郷土美術館(鴨川市)

会期:2022.03.18(fri)~2022.06.05(sun)

海 紙本岩彩 44×56cm 1960年頃作

千葉県大網出身の酒井亜人はモダンで斬新な日本画を描き続け、主に日本美術院展を舞台に著しい活躍をしたが、現在その名はあまり知られていません。いわば不遇の作家であります。亜人の生涯に渡る作品38点を今回展示し、亜人の足跡をたどります。(館主挨拶より)

酒井亜人(1904〜1965)略歴

千葉県山武郡大網白里町に生まれた酒井亜人(1904~65)は、院展(再興日本美術院展)をおもな発表の場として活躍し、画壇の革命児として注目を集めた日本画家です。青年時代を東金で過ごし、上京後も東金にいる親族の温かい支援に助けられながら大成しました。
近郷の土気に住む南画家・萱原黄丘に絵の手ほどきを受けた亜人は、画家を志し、昭和3(1928)年頃、23、4歳の時に上京、後の院展画家、岩橋英遠、同郷の島田良祐ら画家仲間に囲まれ、働きながら独学で絵を勉強します。昭和5年、新興大和絵会展で画壇にデビューし、青龍社展、新美術人協会展に出品、昭和12年には《冬》で院展初入選をはたします。西洋の前衛芸術を果敢に取り入れて、対象を単純化して再構成する試みを重ね、幻想的な風景画や大胆な構図の人物群像を次々に発表していきます。こうした日本画に新生面を開こうという努力は戦後実を結び、昭和27年、《晩秋》で日本美術院賞・大観賞を受賞し、片岡球子と並んで新進気鋭の新人として高い評価を受けました。田畑の広がる山間や木々の重なりを、幾何学的な色面構成で表現した亜人の風景画は、独特の渋みのある色合いとともに異彩を放ち、院展に新風を与えたといいます。
「亜細亜の画人」たらんと「亜人」と号した青年は、生涯を絵画研究に捧げ、日本画の枠におさまらない斬新な作品を生み出しました。その「モダン」な作品は今なお輝きを失っていません。(城西国際大学水田美術館解説)

明治37年8月、千葉県大網に生まれる。本名忠三。昭和の初めに青龍社展に一度入選、9年に福田豊四郎、吉岡賢ニ、岩橋英遠らと新日本画研究会を結成、13年には新美術人協会を結成する。昭和12年再興第24回院展に「冬」で初入選するが、長い苦難の時期をおくり、戦後の24年第34回院展に「方南町」で再び入選、日本美術院院友となり、25年「垣根」、翌26年「山」で連続して奨励賞(白寿賞)を受賞。27年第37回院展に「晩秋」で片岡球子と共に日本美術院賞(大観賞)を受賞。28年院展無鑑査となり、29年「太海」、翌30年「樹」で再度連続して奨励賞(白寿賞)を受賞。著しい活躍を見せるが昭和40年1月15日他界、享年60。(20世紀物故日本画家事典より)

裏清澄の四季の自然とともに 

私設 房総郷土美術館 

所在地:〒299-5506 千葉県鴨川市四方木410-5

開館日:金・土・日曜日 10:00〜16:00

連絡先:0470-94-0333

 

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です